EUにおけるサステイナブルシティ政策について
地球規模の気候の変化、環境の悪化、経済構造の変化などに伴いながら、急速な都市化が世界中で進行している。そうした中でヨーロッパでは、将来の都市がローカルおよびグローバルな持続可能性に貢献できるかをめぐって、「サステイナブルシティ」という考え方が提唱されている。ここで用いられるサステイナビリティの概念とは、地方社会から国際社会、地球全体まで、それぞれに抱える喫緊の問題を解決し、地球社会を持続可能なものとする地球持続のためにビジョンを構築することを目的としている。そして、サステイナブル・ディロップメントとは経済成長ではなく、生活の質の向上を目的とし、現在世代内部の公平とともに、現在世代と将来世代の公平も重視し、自然システムの環境容量の範囲内で開発していくことを意味している。すなわち、サステイナブルシティの構築には、環境に加え経済と社会・文化の三つの視点を統合的に捉えアプローチすることが不可欠である。
なぜこのような議論がヨーロッパにおいてなされたかには、以下の事情がある。
第一は、ヨーロッパにおける都市化と都市構造の変化である。
EU地域...