「四つの四重奏曲」について、あるテーマを選んで論述せよ。内容にふさわしいタイトルを付すこと。
「『四つの四重奏曲』に込められた詩人の想い」
エリオットは、有限の人間の力では把握することのできない無限の力の存在を認め、神の創造にある神秘的なものを感じていた。彼の精神生活はどちらかというと、複雑きわまりない人生を、秘蹟を信じることによって力と慰めを得ながら歩むという、いわば努力と奮闘の理想に集中されていた。この見方は、特に『四重奏』にはっきりみられる、神の恵みを膝まづいて祈り求めながら、日々、自己克服へと励む姿勢をよくあらわしている。
『四つの四重奏曲』は、四つの詩から成り立っているが、最初の詩『バーント・ノートン』(BURNT NORTON)が1935年に書かれ、続いて『イースト・コウカー』(EAST COKER,1940)、『ドライ・サルヴェイジズ』(THE DRY SALVAGES,1941)、『リトル・ギディング』(LITTLE GIDDING,1942)が書き継がれていった。この作品は、エリオットの生涯の総決算ともいえる詩である。彼はそれを書いた時、人生の壮年期を生き抜き、そ...