「精神科リハビリテーションの構成について述べよ。」
1 対象
精神科リハビリテーションが対象としているのは、多くが慢性的な精神疾患を患い、再発や再燃を何度も繰り返し、入退院を余儀なくされている人々である。
しかし、精神障害者がリハビリテーションの対象として考えられるようになったのは、まだ近年であり、1960年代頃に向精神薬の導入などの治療面が著しく向上した事で、社会的な復帰が可能になった事が背景にあるのだ。それまでは、精神障害者は病院や施設が生活主体の場であり、臨床の対象であった。
1987年に制定された『精神保健法』によって、社会復帰施設が制度化され、精神障害者への対応や処遇は、病院から社会復帰施設へと変わった。そして、その社会復帰施設から、最終的には地域社会のなかへ転換が図られていき、地域密着型のリハビリテーションが実施されるように方向付けされた。
しかし、精神障害者が福祉の対象として捉えられたのは、1995年に制定された『障害者基本法』からである。それ以前は、他の障害者とは別に扱われ、治療をすれば完治するといった考えから医療の対象とされたのだ。つまり、精神疾患は治療と言った医療の対象でもあると同時に精神活動上の機能や能力のリハビリテーションの対象となり、精神障害者の地域社会生活を支えていくことが、精神化リハビリテーションの目的であると変化をしていったのだ。
精神科リハビリテーションが対象としているのは、これまでの機能障害や生活障害、社会的不利の領域のなかに居ると考えられていたが、精神障害者を障害といった観点からしか見ないのではなく、その人らしい当たり前の生活を支援するといった観点へ目線を変え、障害者個々の「活動や社会参加」を支援することにより回復を促すことも重要なことだとされた。この為、保健・福祉・医療が相互的に連携をした総合的なもの、つまりトータルリハビリテーションに取り組む必要があるとされる。
2 具体的な展開について
①医学的リハビリテーション:医学的リハビリテーションには、病院内で行われるリハビリテーションと、外来で行われる外来リハビリテーション、精神科デイケアで行われるものがある。障害という部分ではなく疾病といった部分に視点を置き、精神症状の長期的な安定と再発防止、投薬による症状のコントロールを習慣としていく。それと同時に、目的を持った活動を行い、心身機能回復を図る作業療法を行いながら、社会生活の中に適応できるようになることが目的。具体的には、精神病院・精神科クリニック・精神保健福祉センターや保健所などにおいて、個人精神療法・集団精神療法・レクリエーション療法・生活指導・デイケア・ナイトケア・訪問看護などが行われている。
②教育的リハビリテーション:教育的リハビリテーションとは、精神障害者を抱えている家族や、地域住民などの周囲に居る人々に対し、精神障害や疾病内容についての理解を促していく為の「家族教育」と、精神障害者自身が、自分が患っている障害について受け入れられるように促す「障害受容の学習」が、精神病院や精神保健福祉センター、社会復帰施設などの様々な機関などで行われている。
③職業的リハビリテ-ション:精神病院などで病院内での作業訓練(療法)・外勤作業・ハローワークでの相談窓口利用・障害者職業センターでの職業準備訓練や職域開発援助事業の活用・障害者雇用支援センターの活動・精神障害者社会適応訓練事業などが職業的リハビリテ-ションに入る。また福祉的就労としての福祉工場・授産施設・小規模作業所などの利用もあげられる。最近では、障害者職
レポート、心理学、精神科リハビリテーション学、精神保健福祉士、リハビリテーション
「精神科リハビリテーションの構成について述べよ。」
1 対象
精神科リハビリテーションが対象としているのは、多くが慢性的な精神疾患を患い、再発や再燃を何度も繰り返し、入退院を余儀なくされている人々である。
しかし、精神障害者がリハビリテーションの対象として考えられるようになったのは、まだ近年であり、1960年代頃に向精神薬の導入などの治療面が著しく向上した事で、社会的な復帰が可能になった事が背景にあるのだ。それまでは、精神障害者は病院や施設が生活主体の場であり、臨床の対象であった。
1987年に制定された『精神保健法』によって、社会復帰施設が制度化され、精神障害者への対応や処遇は、病院から社会復帰施設へと変わった。そして、その社会復帰施設から、最終的には地域社会のなかへ転換が図られていき、地域密着型のリハビリテーションが実施されるように方向付けされた。
しかし、精神障害者が福祉の対象として捉えられたのは、1995年に制定された『障害者基本法』からである。それ以前は、他の障害者とは別に扱われ、治療をすれば完治するといった考えから医療の対象とされたのだ。つまり、精神疾患は治療と言った医療の...