「障害者の「自立」に必要な社会環境とは何か述べよ。」
【1.自立生活(Independent Living:IL)】
従来「自立」といえば、当然のように「自ら生計を立てること」と思われていた。この考え方に従えば、重度の障害のある人たちに自立はなかったといってよい。そして、そのような障害者は、保護の対象であり、指導されるべき人であり、当然に「従うべき人たち」であった。この認識を真っ向から打ち破ったのが自立生活運動であった。それは、人としての尊厳を問う運動でもあった。
人は誰で主体的に生きる権利をもっており、障害があるがゆえに主体的に生きることができないとする考えは本質的に間違っており、どんなに重い障害があっても主体的に生きることは可能だというのが自立生活運動の中心的思想である。ここでは、何よりも自立に関する概念が重要となる。どんなに援助を受けていても差し支えなく、どんなに介護を受けていても何ら差し支えない。政府から年金を受け、日々の生活では全面的な介護に頼っていても、何時に起き、何を食べ、どこに行くか、などは自分で決めるというのが自立であ る。「自らの判断と決定により主体的に生き、...