『象徴機能の発生について説明せよ(説明には子どもの行動についての具体的研究例も提示する)。また、教育との関連で大切な点を説明しなさい。』

閲覧数61,210
ダウンロード数85
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    『象徴機能の発生について説明せよ(説明には子どもの行動についての具体的研究例も提示する)。また、教育との関連で大切な点を説明しなさい。』
     象徴機能とは、今、そこにない物を呼び起こす働きをするという機能である。つまり、意味するものと意味されるものとを区別して使うことが可能になるということ、今そこに知覚しているものをてがかりにして、そこにないものを思い浮かべ、それに反応することが可能になるということなのである。それでは象徴機能とは、具体的にいつ頃どのようにして発生するのだろうか。
     子どもは、1歳半から2歳にかけて表象能力を現しはじめる。今、目の前にない物事についても頭に思い浮かべ、自分で実際に行動してみなくてもその様子を頭に思い描く。つまり、具体的な知覚体験をもとに自分なりにイメージを構成し、それを利用して時・場所を変えて自分なりのやり方で活動するようになる。表象能力の出現を示す初期の活動として延滞模倣があげられる。たとえば、ある子どもは「ガアン・・・、ゴオン・・・」と言いながら長方形の箱を動かし、ときどき箱を止め、自分のからだの動きも止めて「プシュッ」と言った。電車に乗ったときのイメージをもとに、後日、家の中でその特徴を再現しているのだが、この模倣行為には箱を電車にみたてる活動、箱やからだを動かしたり止めたりして電車に乗っているふりをする活動が含まれている。ここでの箱や子どもの音声・しぐさは、電車という指示対象を意味するもの、すなわち象徴である。音声言語に限らず、言葉の発達そのものには象徴機能の発達が前提であるといえる。
    3歳ころには、子どもはふりやみたてを複雑に組み合わせて虚構の世界を作り上げるようになる。絵本を何冊もかかえ持ってきて、ほおづえをつきながら、一冊ずつ開いては「ウン、ウン、ウン・・・だって、おわり」などと言う様子を観察できる。この場合、子どもはまだ字を読めていないのに、いかにも読んでいるかのようにみせている。それは単なるモデルの模写ではなく、自分のイメージや知識にもとづいて演技しているのである。やがて、子どもは遊びのなかでの役割を意識し、それにふさわしい動作を思い描き、状況を設定することによってごっこ遊びを展開するようになる。
    以上のようにして象徴機能は発生する。それでは、この機能が十分形成されない子どもにはどのような問題点が発生するのだろうか。象徴機能とは、今そこに知覚しているものをてがかりにして、そこにないものを思い浮かべ、それに反応することが可能になる、ということであるから、象徴機能の獲得が困難な子どもは、やっていることの意味がわからない、意味が見えにくいのである。本来ならば他機能の発達とともに人とのコミュニケーションが意味をもって受けとめられていくのだが、それができていない。そのため、大人のやっていることの意味が見えにくい。また、自分のもっている力が意味をもってなかなか使えないのである。ゆえに遊びでも生活でもなかなか広がっていかないということになる。象徴機能に弱さがあると、なかなか言葉が出てこない。あるいは言葉があっても、それが意味あるものとして使えない。また、模倣的な身振りから見立てへの発展もなかなか難しいのである。模倣もやるにはやるが、そこに意味が入っていかず、ただやっているだけになってしまう。言葉がなかなか出てこないということは、自我の育ちとも大きく関連していて、行動面では大人の意図を受けとめての行動になりにくいため、どうしても欲求に支配された行動となりやすく、パニックに陥りやすくなる。自分のやりたいことを相手にわ

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    『象徴機能の発生について説明せよ(説明には子どもの行動についての具体的研究例も提示する)。また、教育との関連で大切な点を説明しなさい。』
     象徴機能とは、今、そこにない物を呼び起こす働きをするという機能である。つまり、意味するものと意味されるものとを区別して使うことが可能になるということ、今そこに知覚しているものをてがかりにして、そこにないものを思い浮かべ、それに反応することが可能になるということなのである。それでは象徴機能とは、具体的にいつ頃どのようにして発生するのだろうか。
     子どもは、1歳半から2歳にかけて表象能力を現しはじめる。今、目の前にない物事についても頭に思い浮かべ、自分で実際に行動してみなくてもその様子を頭に思い描く。つまり、具体的な知覚体験をもとに自分なりにイメージを構成し、それを利用して時・場所を変えて自分なりのやり方で活動するようになる。表象能力の出現を示す初期の活動として延滞模倣があげられる。たとえば、ある子どもは「ガアン・・・、ゴオン・・・」と言いながら長方形の箱を動かし、ときどき箱を止め、自分のからだの動きも止めて「プシュッ」と言った。電車に乗ったときのイメ...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。