「条件文句に用いられたwere to叙想法と叙想法未来(叙想法代用のshould+原型不定詞)とを比較考察しなさい。」
本稿では、条件文句の中でも「were to叙想法」と「叙想法未来(叙想法代用のshould+原型不定詞)」という、未来時について言及する2つの用法について、それぞれの特徴を適切な例文を挙げながら比較考察したい。
まず、比較考察に入る前に条件文(条件文句と主文句からなる文)の種類について概説を付しておきたい。本稿で取り上げる2つの用法の違いを整理する上で、条件文の種類を、それぞれの相違点を明らかにし理解しておくことが非常に有効であると考えられるからである。
さて、条件文の種類は主に3つある。そしてそれぞれの条件文句に用いられる述語動詞は、その帰結である主文句の述語動詞と密接な関連があり、条件文句と主文句に使われる各々の述語動詞の組み合わせを正確にとらえておくことが、各種条件文句の理解に欠かせない。
*以下の説明で用いる(a・b・c)分類法はテキスト「新英文法」に準拠した。
(a)類は、或る事を事実として、一般論として、仮定して、そこから帰結を引き出す文である。条件文句は叙実条件であり、叙実法が用いられ、主文句(帰結)にも叙実法/直説法(或いは命令法)がとられる。
(b)類は、条件文の内容を、事実に反する仮定か、まったくの仮定としたものであり、そこから帰結を述べるものである。条件文句は反実条件(却下条件)であり、この条件文句に使われる動詞は叙想法となる。ちなみに現在時について言及する場合は叙想法過去、過去については叙想法過去完了、また未来に関しては「were to叙想法」(又は叙想法過去)が用いられる。帰結に使われる動詞は条件法(過去形助動詞would, should, could, might, must, need等+完了形(または不定詞))となる。
(c)類において条件文句に用いられる動詞は、現在については叙想法現在、過去については叙想法過去、未来については「叙想法未来(叙想法代用のshould+原型不定詞)」が用いられる。 帰結(主文句)の動詞は基本的に叙実法であるが、未来時に言及する場合は条件法(would/should+原型不定詞)が用いられることもある。
さてここから本題に入る。(b)類の条件文で未来時に言及するのに使われる「were to叙想法」を先ず取り上げるが、『「were to叙想法」は「未来時に言及して殆ど起こり得ないことについての仮定を表す」』ものである、という誤った考え方があることついて触れておかねばならない。
①If anything were to happen to me before I got back to the States, I want you to make sure that the story reaches my editor at the Washington Post. “What do you mean, not without its risk?”(WB)
この文は一例として挙げたが、これは未来の事柄についての仮定を表している。その際どれほど実現の可能性があるかについては、発言内容や文脈から判断することになる。この①の文の場合は、「仮に~すれば」という意味として、それなりに実現の可能性のある仮定を表していると受けとることも出来よう。そのニュアンスの受け取り方は、聞き手(読み手)の判断次第とも言えるが、しかしこの①についていえば、「殆ど(99%)起こり得ないこ
『条件文句に用いられたwere to叙想法と叙想法未来(叙想法代用のshould +原型不定詞)とを比較考察しなさい。』
まず、条件文句とは何か、その定義付けから始めたい。
条件文句は条件の副詞文句とも呼ばれ、接続詞ifやunless(= if …not)のほか、群接動詞on condition (that), in case (that), suppose(= supposing)(that), provided (that), granted (that)などや、口語ではso only, so that, so long as(いずれもif onlyと同義)などに導かれる文章のことである。
・If you are tired, we will sit down.
(君が疲れたのなら、座ろうよ)
・I shall not go unless I hear from you.
(彼から便りがなければ行きません)
・Granted that he did say so, that is no excuse for your conduct.
(もし彼が事実そう言ったとしても、君の振る舞いの言い訳にはならない。)
以上に挙げた例文において、下線部が条件文句である。つまり条件文句とは、「もし~ならば・・・だ」という文章の、「もし~ならば」の部分であると捉えれば間違いはないであろう。
条件文句の述語動詞は、その帰結、つまり上の例文の下線部を引いていない部分である主文句の述語動詞と関連させて考えなければならない。条件文句と主文句からなる分を条件文というが、この条件文は以下の3種類に分類される。
(1)あることを事実として、または一般論として仮定して、そこから帰結を引き出す文。条件文句は叙実条件(=開放条件)であり、叙実法がとられ、未来時を表すのに現在時制になる点において「時」の文句と共通している。帰結(主文句)でも、叙実法または命令法がとられる。
・If you are right, I am wrong.
(君が正しければ、僕は間違っている。) [現在時]
・If it rains tomorrow, we shall stay at home.
(もし明日雨なら、私達は家に居ります。) [未来時]
・Don’t come unless I call.
(私が声をかけなければ来るな。) [未来時]
・If he did this, he sinned. [過去時]
(もし彼がこれをしたのだったら、彼は罪をおかしたことになる。)
(2)事実に反する仮定か、全くの仮定と想定されることを条件として、その帰結を引き出す文。条件文句は反実条件(=却下条件)であり、動詞は叙想法(現在時に関するものは叙想法過去、過去時に関するものは叙想法過去完了、未来時に関するものは「were to叙想法」または叙想法過去)をとる。帰結の動詞は条件法(過去形助動詞would, should, could, might, must, need等+(完了)(不定形)の形をとる。
・If you knew how I suffered, you would pity me.
(私がどれほど苦しんだかお分かりになったら、私に同情してくださるはずですが。(実際には分かってくれないので同情もしてくれない)) [現在時の反実仮想]
・If I had known, I