繰延資産

閲覧数4,611
ダウンロード数3
履歴確認

    • ページ数 : 7ページ
    • 会員1,100円 | 非会員1,320円

    資料紹介

    繰 延 資 産
    1. 意義
     繰延資産は、『「将来の期間に影響する特定の費用」とは、すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいう。これらの費用は、その効果が及ぶ数期間に合理的に配分するため、経過的に貸借対照表上繰延資産として計上することができる』(企業会計原則注解・注15)と規定されている。
     会計的思考には、「企業が期末時点において保有する有形・無形の財貨および権利をいう」といった静態的・法律的会計思考と、「企業の収益獲得のために貢献しうる経済的価値をもつものをいう」といった動態的・経済的会計思考とがある。前者の会計思考における概念規定では、換金能力または転売価値のある財貨および権利のみに「資産」としての資格を与えられる。一方、後者の会計思考における概念規定では、「資産」を経済的価値という観点から定義づけるため、換金性や売却価値の有無にかかわり無く、将来の企業収益に貢献しうる支出額すべてに資産性が与えられる。
    繰延資産として計上される場合において、「将来の期間に影響する特定の費用」の資産性は、期間損益計算を重視する今日の会計における思考、つまり誘導法を採る動態的会計思考に基づいているものであり、その根拠は、この会計思考に基づく費用収益対応の原則および費用配分の原則という期間損益計算原則に求められる。なお、繰延資産は費用性資産である。
    しかし、繰延資産を計上する根拠となっている、将来の収益に貢献する効果の発現の予想には、大きな不確実性が伴い、また、換金価値を有しない点で、繰延資産を無制限に資産計上すれば、企業の資本充実を害して資本の空洞化を招く恐れがある。特に株式会社の債権者にとっては、株主が有限責任であるため、自己の債権は会社の資本によってのみ保証されるに過ぎないため、繰延資産には、以下の3つの制約がある。
    (a)繰延資産として資産計上が許容される項目は、株式交付費・社債発行費等・創立費・開業費・開発費とする。
    (b)繰延資産は剰余金の分配可能額から控除する。
    (c)繰延資産の早期費用化における会計処理の規定が存在し、同一の繰延資産項目は、その性質は一般的に同質であるため、原則として同一の方法によらなければならない。
    また、将来の期間に影響する特定の費用は、原則として支出時の費用処理であり、繰延資産として処理することもできるとされている。当該費用は、理論上はすべて繰延資産として当然「計上されるべき」であるが、制度会計上は「計上できる」(企業会計原則第三・四・(一)・C)とされている。これは、繰延資産は「擬制資産」であるとの考え方および保守主義の原則を反映しているものである。
    ①一般資産との相違点
     繰延資産は、棚卸資産、有形固定資産および無形固定資産などと同じ費用性資産であるが、棚卸資産、有形固定資産および無形固定資産などの費用性資産が財貨または権利として換金価値を有するものであるのに対して、繰延資産はそのような換金価値を有しない点で性格が異なる。このように繰延資産は、何ら実体を持つものでないことから、擬制資産とよばれることもある。
    ②前払費用との相違点
      繰延資産は、費用として支出が行われたという点では長期前払費用と共通するが、繰延資産は支出の対価たる役務の提供をすでに受けている発生費用であるのに対し、長期前払費用は支出の対価たる役務の提供をいまだ受けていない未発生費用であるという点で異なる。
    2.種類および会計処理方法
    ①株式交付費

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    繰 延 資 産
    1. 意義
     繰延資産は、『「将来の期間に影響する特定の費用」とは、すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいう。これらの費用は、その効果が及ぶ数期間に合理的に配分するため、経過的に貸借対照表上繰延資産として計上することができる』(企業会計原則注解・注15)と規定されている。
     会計的思考には、「企業が期末時点において保有する有形・無形の財貨および権利をいう」といった静態的・法律的会計思考と、「企業の収益獲得のために貢献しうる経済的価値をもつものをいう」といった動態的・経済的会計思考とがある。前者の会計思考における概念規定では、換金能力または転売価値のある財貨および権利のみに「資産」としての資格を与えられる。一方、後者の会計思考における概念規定では、「資産」を経済的価値という観点から定義づけるため、換金性や売却価値の有無にかかわり無く、将来の企業収益に貢献しうる支出額すべてに資産性が与えられる。
    繰延資産として計上される場合において、「将来の期間に影響する特定の費...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。