ルネサンス美術表現とその原因および結果

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    ルネサンスと中世の絵画の最大の違いは、人間と空間の扱い方である。中世では硬直した人間の姿が平面的に描かれていた。それがルネサンスに入り、ジョットが現れて、描かれる人物は彫像性を持ち人間らしい表現へと移行し、空間は奥行きを感じ取れる現実的なものとなった。このような違いは、同じ主題や構図で描かれた、それぞれの時代の聖母子像を比較すれば、一目瞭然であろう。さらに、人体比例や解剖学といった科学的な方法で対象物を画面に再現する研究も進んだ。その結果、中世絵画とは決定的に異なるものとなると同時に、自然主義という表現において完成の域に達する。このように、新しい人間と空間の認識を、科学的に推し進めようとしたのがルネサンスの美術表現である。
    このような人物と空間の扱い方の変化の背景には、「人間こそ、あらゆる事物の中心であり、基準である」という人文主義の考え方がある。詩人や哲学者が文献を通じて古典古代を再発見することで、人文主義が生まれた。西洋中世は、キリスト教中心の社会であり、絶対的存在である神と教会、さらに神学という観点から、美術をはじめ、あらゆる活動が行われていた。人間と自然は神の被造物であるという...

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