なぜ国民所得が成長し、経済によって成長速度が異なるのか説明するためには、時間を通じた経済の変化を記述できるように分析を拡張する必要がある。貯蓄、人口成長、技術進歩が時間を通じて経済の産出と成長にどのような影響を与えるか示すことをソローの成長モデルを例に論じることにする。
財の需要と供給をソローモデルの基礎をなしている、おなじみの生産関数Y=F(K,L)によると、資本と労働を両方倍にすれば産出量もまた倍になるのである。また、財への需要は消費と投資から生じる。言い換えれば、労働者一人当たりの産出は、労働者一人当たりの消費と投資に分けられる。ソローモデルでは毎年人々は所得のうち の割合を貯蓄し の割合を消費すると仮定し消費関数で表すと - になる。ソローモデルの二つの主の構成要素である、生産関数と消費関数は経済を描写しているものであり、どのような所与の資本ストックに対しても生産関数は経済でどれだけの生産がなされるかを決定し、貯蓄率はその産出の消費と投資への配分を決定する。資本ストックは経済の産出の重要な決定要因であるが、資本ストックは時間を通じて変化する可能性があり、その変化は経済成長をもた...