「EU統合はそこに暮らす人々、ひいては世界の人々の幸福にどのような貢献を果たすと考えられるか。もっとも基本的な発現状況を要約して述べよ。」
ヨーロッパの統合の歴史は古代ローマ帝国による統合であるシャルルマーニュのフランク王国による統合に次ぐ、第3次ヨーロッパ統合ととらえる見方がある。しかしヨーロッパに真のヨーロッパ人の意識が芽生えるのはイスラム教勢力に対抗する形であらわれる。具体的には1095年に決定された十字軍の派遣であり、勢力を強大化しつつあったオスマントルコに対する共同戦線を呼びかけたフランス国王フィリップの法律顧問ピエールデュボアのヨーロッパ統一構想がこれにあたる。その後、16世紀以降、多くの政治家、宗教家、思想家などがヨーロッパ統合を、ヨーロッパの平和の実現を目標に語るようになる。アンリ4世の宰相シュリー公爵は当時進行中であった30年戦争の終結と平和の実現を願って、欧州軍設立を含むヨーロッパ15カ国による国家連合を構想。またフリードリヒリストが提唱した広域経済圏創設の構想がある。特にこれは現EUの関税同盟や域内市場の原点となっているとされるが、当時の統合への意欲はまだ現実...