出雲国風土記

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    今回はじめてわたくしは出雲国風土記にふれ、土地の歴史、風土とはいかなるものか、その一端を知ることができた。ことばで表すのは大変に難しいので、正確には知ったのではなく漠然と感じたというべきかもしれない。たとえばこんな感じである。昔から人々がその土地と深くかかわりながら生活をおくり、そのなかで様々な物語が生まれ、土地の記憶として語り継がれてきた。歴史とは単なる年号の羅列でもなく、権力の覇者によるつじつまあわせの道具でもない。自然への畏怖、人々と土地との繋がりの香りこそが歴史であり、それは時に風土として認識されるものなのではないか。ひとつの風土記を読み終えた今、このように感じる。そして少し大げさに言うと、わたくしはこれまであまりにもそのような歴史に対して無関心であったのかもしれない。私たちが日々生活するこの土地は身じろぎもせず地上の出来事を見てきて、その様々な痕跡が記憶となって風土を形成し、整った形で今日まで保存されてきた。日本がその歴史上、他民族による侵略や人口構成の激変、国家の大規模な分裂を経てきたならば、今日のような形では、過去から連綿と続く風土を知ることは困難であったに違いない。弥生...

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