「生活保護法の基本原理、種類、内容について述べよ。」
公的扶助とは、生活に困窮している人たちに対して公費で生活保障を図る制度であり、その代表的なものが生活保護制度である。
生活保護法は、1950年に制定された。しかし、現在の国民生活を取り巻く状況は、1950年代はもとより、高度経済成長時代、バブル経済崩壊後における産業構造の変化、技術革新や情報化の進展、核家族化などにより、失業の増加や収入の低下、地域社会からの孤立や孤独、児童虐待、自殺の増加など、社会問題も多様化・複雑化している。このような社会構造の変化に伴い、国民の生活に対する価値観も多様化してきている。
このような時代にあって、生活保護精度が国民の最低限度の生活を保障する最後のセーフティーネットとしての役割を果たし続けるために、制度のあり方や生活保護基準の水準についての見直しが課題となっている。
生活保護法は、憲法第25条に定める「生存権の保障」を実際に行うための重要な法律である。この法律の基本原理には、国が守るべきことである「無差別平等の権利」、「最低生活の原理」と、生活保護を受ける国民の側に要求される「補足性の原理」がある。
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