『学習社会論とある存在様式、およびフォール報告について論述せよ。』
フォール報告は1971年にユネスコが設けた「教育開発国際委員会」が1972年に公刊したものである。これは一つの委員会の報告書でありユネスコの公式の見解ではないがユネスコの系譜の中の生涯教育論の集大成と考えることができる。この、第3部「トワード・ア・ラーニング・ソサエティーでは学習社会実現のための原理を提起している。学習社会での学習の目的は「ある存在様式」のための学習である。この報告書が未来の社会形態を指向する概念として使ったのがハッチンスの「ラーニング・ソサエティ」すなわち学習社会である。ハッチンスは、未来社会を労働から解放された社会、すなわち余暇社会であると予想した。ハッチンスは学習社会を「すべての成人男女に、いつでも定時制の成人教育を提供するだけでなく、学習・達成・人間的になることを目標とし、あらゆる制度がその目的の実現を志向するように価値の転換に成功した社会」であると述べている。ハッチンスは、教育の目的を職業のためだけではなく、人間的になることに置くように価値が転換した社会が学習社会であるとした。このように、ハッ...