『ユネスコにおける生涯教育論の提起と社会的背景、及びその後の生涯教育論の展開について論述せよ。』
(1)ラグランの生涯教育理念
人間の生き方を説いた生涯教育論は、人間の歴史の中で早くから存在していた。教育または学習を生涯にわたって続けるという教育の生涯化として生涯教育をとらえていたが、それはあくまで個人の問題として考えられ、一部の恵まれた人達に限られた私教育としての生涯教育で、人格の完成に重点をおいたその教育理念は、現代的生涯教育論に対して古典的生涯教育論と呼ばれている。 一方、教育の概念の中に公教育としての生涯教育を持ち込んだのは、コンドルセであり、1700年代に入って、現代的生涯教育論が始まったと言える。コンドルセは、教育はすべての年齢にわたって行われるべきであると主張した。さらに全生涯を通じて教育を継続することにより、知育の陳腐化を防ぐことができ、有益で活動的な精神の中に保持されるとし、公教育としての生涯教育の必要性を説いている。 1900年代には成人教育学者を中心に生涯教育論が起こり、成人に対する教育活動が活発になっていった。
1965年12月フランスのパリにおいてユネス...