現在、国民の最大関心事項として、公的年金の問題がある。わが国の公的年金制度は、国民年金、厚生年金、共済年金等の3種類である。まず、国民年金は20歳以上60歳未満の全国民を対象としており、加入者は、第1~3号被保険者と3つに分けられる。この第2号被保険者のうち、会社員を対象とした厚生年金や、公務員を対象とした共済組合は、職場で加入する年金であり、それぞれの基礎年金に上乗せされて支給される。
そのなかで、厚生年金について述べる。まず、厚生年金(正確には「厚生年金保険」である。)は、民間の会社などに勤務する労働者の老齢、障害または死亡について保険給付を行い、労働者およびその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする社会保険制度である。
厚生年金が適用となるのは、次のいずれかに該当する事業所で、強制適用事業所と任意(包括)適用事業所がある。
強制適用事業所とは、次に該当する事業所で、必ず厚生年金保険制度を適用しなければならない。まず、農林水産業、サービス業等一部の業種を除いた個人事業所で、常時5人以上の従業員を使用している事業所または 常時1人以上の従業員を使用している国または法...