会社法 A08A
取締役会設置会社で、公開会社であるA株式会社の代表取締役Bは、C会社がA会社株式を市
場において買い進めつつあることを察知し、自社の株価を高騰させ、C会社の株式取得を困難に
するために自社株式を取得しようとした。
(a) 市場において自己株式を取得するとき、および友好的関係にある第三者Dが有しているA会
社株式を取得する場合の手続きを整理しなさい。
(b) 上記(a)の自己株式取得が必要な手続きを経ないでなされたときの株式取得の効果はどうな
るか。
(c) また、自己株式の取得が、A会社の分配可能額を超えてなされたときの株式取得の効果はど
うか。
d) さらに、以上(b}(c)の場合に代表取締役 B の責任はどうか。
--------------------はじめに
自己株式とは「株式会社が有する自己の株式」をいい(会社法 113 条 4 項)、株式会社が自社の
発行済株式を取得することを「自己株式の取得」という。有限責任制度(104 条)をとる会社形態で
ある株式会社は、会社に負債があってもその株主は会社債権者に対して直接、個人財産により
責任を負う必要がない。そ...