商法(商行為)
Y は通信販売業者Aから運送賃込みで商品を購入して代金を前払いした。Aは、平常、顧客へ
の商品の配送を運送業者Xに委託しており、Yの購入した商品の運送もXに委託した。XがAに対
する運送貨の支払を猶予している間にAが倒産したためXはAに対する運送賃債権を放棄した。Y
がXから商品の引渡を受けてから半年余りが経過した後、YはXから運送賃の請求を受けた。Yは
Xに運送賃を支払わなければならないか。
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1. はじめに
本件は、運送業者Xの荷送人である通信販売業者Aに対する運送賃請求権は、XとA双方間
に締結された運送契約により発生したものであるが、Aが倒産したためXはAに対する運送賃債権
を放棄しており、一方でXのYに対する運送賃請求債権はYが運送品をXから受け取ったことに起
因して、商法583条2項の規定によって発生し、これに基づいて、YはXに運送賃を支払わなければ
ならないかという点が問題である。
一般的に言って、運送人は商人であるから、特約がないときでも相当の報酬を請求することが
できる(商512条)。請求できる時期は
商法(商行為)
Y は通信販売業者Aから運送賃込みで商品を購入して代金を前払いした。Aは、平常、顧客へ
の商品の配送を運送業者Xに委託しており、Yの購入した商品の運送もXに委託した。XがAに対
する運送貨の支払を猶予している間にAが倒産したためXはAに対する運送賃債権を放棄した。Y
がXから商品の引渡を受けてから半年余りが経過した後、YはXから運送賃の請求を受けた。Yは
Xに運送賃を支払わなければならないか。
--------------------1. はじめに
本件は、運送業者Xの荷送人である通信販売業者Aに対する運送賃請求権は、XとA双方間
に締結された運送契約により発生したものであるが、Aが倒産したためXはAに対する運送賃債権
を放棄しており、一方でXのYに対する運送賃請求債権はYが運送品をXから受け取ったことに起
因して、商法583条2項の規定によって発生し、これに基づいて、YはXに運送賃を支払わなければ
ならないかという点が問題である。
一般的に言って、運送人は商人であるから、特約がないときでも相当の報酬を請求することが
できる(商512条)。請求できる時期は、原則として運...