流言についてのまとめ
1.定義
(1)「流言」または「うわさ」の歴史
流言とは中国の言葉で、様々な歴史書にその記載がある。『荀子』には「流言止於智者」(流言は知恵の優れた人、道理をわきまえた人のところで止まる)、『漢書』には「訛言不可信」(訛言(風評)というものは信じるものではない)、『書経』には「管叔及其群弟、乃流言於国」(管叔と多くの弟たちが、国中に流言を言いふらした)、『史記』には「乃有蜚語、為悪言聞上」(蜚語があり、それを皇帝が聞いて竇嬰は処刑された)との記述がある。さらに、『荀子』には「流者無根源之謂」、『資治通鑑網目』正編には「流言無根之言、如水之流自彼而至此也」とあり、流言とは根拠のないものが水の流れのように伝えられるものであるとされている。これらから、古代中国では流言は無根拠であり信じるべきものではないと考えられていたことがうかがえる。
一方、西欧においてはローマ神話やギリシャ神話において「うわさ」が人格化されている。ローマの神話では、「ファーマ(Fama)」がうわさや世論の女神として描かれている。ファーマは大地の女神であるテルス(Tellus)の娘で、無数の目と耳と...