会社法論文書き方例題(新株発行無効の訴え、新株発行不存在の訴え)
1.新株発行1の有効性について
(1)新株発行無効の訴えの可否(828条1項2号)
ア.出訴期間について
X会社は非公開会社であり、株式発行の効力発生日から1年以内であれば提訴することができる。新株発行1の効力発生日は振込期日の平成22年1月4日である(209条1号)から、その日から1年以内である現在(平成22年7月20日)においては、出訴期間内である。
イ.原告適格について
Cは新株発行1後の株式併合によって1株に満たない株式保有者となり、端数処理手続(235条1項)によって、平成22年7月20日現在、X社株主ではない。Dは、任期満了に基づき、平成22年7月20日現在、X社取締役ではない。新株発行無効の訴えの提訴者は株主、取締役又は清算人に限定されており(828条1項2号)、この規定をそのまま適用すればC及びDは原告適格がない。
しかし、①この規定は株式の流通という取引の安全を保護する必要から広い範囲において新株発行の効力を否定することを避けるための制約の一つであり、本件X社は非公開会社であり、株式保有者もA、B、Cと...