読書ノート29

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    単純な脳、複雑な「私」 2010年4月8日 池谷裕二 哲学では「存在とは何ぞや」と、大まじめに考えていますが、大脳生理学的に答えるのであれば、存在とは「存在を感知する脳回路が活動すること」と、手短に落とし込んでしまってよいと思います。つまり私は「事実(fact)」と「真実(truth)」は違うんだということが言いたいのです。
    脳の活動こそが事実、つまり、感覚世界のすべてであって、実際の世界、つまり「真実」については、脳は知りえない、いや、脳にとっては知る必要さえなくて、「真実なんてどうでもいい」となるわけです。
    全体をひとまとめに認識するやり方のことを、「ゲシュタルト群化原理」と呼びます。
    モナリザが笑っているのは、そう、絵の向かって右側なんですよ。左半分は、むしろ神妙な顔つきをしていますね。だから絶妙なんです。ぱっと見では必ずしも笑っていませんが、でも、じっと見ていると「そういわれてみれば、笑っているような気がしないこともない」という不思議な感覚がするんです。実際に左右反転してみると、ほら、まったく別人になっちゃうでしょ。
    直感もひらめきも、何かフとしたときに考えを思いつくという意味...

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