読書感想文参考読書レビュー三島由紀夫編(奔馬・春の雪・美しい星・命売ります・仮面の告白・青の時代・金閣寺・三島由紀夫レター教室・宴のあと・美徳のよろめき) |
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読書感想文参考 読書レビュー 三島由紀夫編(奔馬・春の雪・美しい星・命売ります・仮面の告白・青の時代・金閣寺・三島由紀夫レター教室・宴のあと・美徳のよろめき)
★奔馬
人は共通の思い出について、一時間がほどは、熱狂的に話し合うことができる。しかしそれは会話ではない。孤立していた懐旧の情が、自分を頒つことのできる相手を見出して、永い間夢みていた独白をはじめるのだ。おのがじし独白がつづけられて、しばらくすると、急に今の自分たちは語り合うべき何ものも持たぬことに気づく。二人は橋を絶たれた断崖の両岸にいるのである。 当時の私は、自分が社会のために有効な、有為な人間になれると信じていましたし、その年齢にしては感情も平衡を保ち、理智も平板ななりに一応澄んでいました。大ていの情熱が自分にふさわしくないことを承知してしまい、人間にはそれぞれの役割があることを了知してしまっていました。われわれが自分の肉体からはみ出すことができないように、自分が人生に於て演ずべき一定の台本からはみ出すことができないと信じていました。ですから、他人の情熱を見ると、一刻も早くその不調和、その情熱と彼自身との間の微妙な齟齬を発...