最判平成11年11月24日 民法判例百選Ⅰ(第5版)84事件
抵当権に基づく不法占拠者に対する明渡請求
<論証面からの分析>
(1)争点の把握
事実の概要
XはA所有の土地建物に抵当権を設定。その後、Aが本件土地建物をBに貸し、Yが転借。しかし、AB間の賃貸借契約はBが書類を偽造した無効なものであった。XはAが債務弁済を怠ったため、抵当権の実行を申し立てたが、Yが建物を占有していたため競売手続が進行しなかった。そこでXは貸金債権を保全するために、Aが所有権に基づいてYに対して有する妨害排除権を代位行使して本件建物をXに明け渡すよう請求。
請求の趣旨
Yは建物をXに明け渡せ
請求の原因
①Aが本件土地建物を所有しており、Yは占有権限がないのに本件土地建物を占有しており、Aは所有権に基づき明渡請求権を有している。
②Xは本件土地建物に抵当権を設定し、Aに金員を貸し渡しているが、その債権の弁済がないため、抵当権の実行を申し立てたが、Yの占有により入札する者がおらず、債権の満足を得ることができていない。Xは債権保全のためにAの明渡請求権を代位行使する必要がある。
争点
①抵当権者が抵当不動産...