『適応・不適応の心理的機制、またそれらから引き起こされる特徴的行動について説明せよ。』
適応とは、主体としての個人が、その欲求を満足させようとして環境の諸条件と調和するために取る行動や態度の調整のことをいう。そして適応には、環境や状況に自己を適合させていく「受動的」な形と、環境に働きかけて変革するという「積極的」な適応の形がある。人が適応のための行動を起こす際には必ず「原因」が存在するが、そこにはさまざまな「原因」があり、それらに対する「動機付け」はさまざまである。また、めざす目標の位置や重要性と自分との関係によっては数種の「葛藤」が生じ、これら心的作用が人の行動に対して影響を与える。「欲求不満」も同様にいくつかのタイプがあり、適応、不適応にかかわる重要な心的作用として考えられる。
「葛藤」は人なら誰でも経験するであろう心の作用である。当然ながら「適応」行動の際にもそれは十分起こりうることである。「葛藤」とは個人の内部に相反する2つあるいはそれ以上の目標が同時に生じて、しかも、それらに同じくらいの程度の関わり合いを望んでいる自分を感じたとき、動きの取れない自己の状況を認知することである。種類としては(1)接近-接近」型、(2)「回避-回避」型、(3)「接近-回避」型の3つがあり、(1)は例えば買い物でどっちを買おうかなという時の葛藤で、結局選ばれなかったほうの誘意性は薄れていく。(2)は勉強をしたくない。しかし赤点取るのも嫌だ。というように負の誘意性をもつ2つの目標が存在するとき。(3)は単位を取りたい。しかし、勉強は嫌だという場合である。また、葛藤が長期間続くという緊張状態のなかにあっては、個体は葛藤から脱却するためにさまざまな対処行動を試みる。代表的なものは「代償行動」と「要求水準」の調節がある。例えば、目的地にバイクで行きたいけれども、事情により、しかたなく自転車で行くという場合、「自転車で行く」が代償行動にあたり、自転車で行く事に満足ができればそれは「代償行動」ということになる。満足度が高いと代償価は高いといえ、満足度が低ければ代償価は低いということになる。「要求水準」の調節とは例えば、試験の結果、60点の成績に落胆しながら、まあ単位が取れたのだから良しとしようと自分に言い聞かせて気を取り直す、といった場合である。
欲求不満には「攻撃性」、「退行性」、「固着性」、の3つのタイプがある。イライラしたり、口論したりする「攻撃性」、甘えん坊になり、指をしゃぶったり爪を噛んだり、相手主導の配慮を待つ構えがうかがえる「退行性」、攻撃性も退行性もなくただ身動きがとれずにじっとしている「固着性」、など。いずれにしても欲求不満は自我の不安へつながり次に「防衛機制」が働き、そしてそれは有効であっても根本的な解決にはならず、結局単なる「逃避」行動になり不適応行動という認識に至る。
人は困難にぶつかるとそれに対処しようとする。こういった適応への努力を「適応機制」という。また将来に不安を感じはじめるとそれは自我の崩壊の危機へとつながる恐れがあるので、このとき適応機制が働くが、ここでの適応機制は「防衛機制」と同義語と考えてよい。防衛の基にある動機は不安である。不安に対する防衛措置は「適切な解決策」とは言い難く、逆に適応の困難さを招く恐れがあるため、「防衛機制」を「不適応の徴候」とされる事が多い。それでは次に主な防衛機制について述べたいと思う。
「抑圧」は心的エネルギーをそのまま発散させると、不安や破局を起こす恐れがあるとき、自我がそのような不安や破局を起こ
『適応・不適応の心理的機制、またそれらから引き起こされる特徴的行動について説明せよ。』
適応とは、主体としての個人が、その欲求を満足させようとして環境の諸条件と調和するために取る行動や態度の調整のことをいう。そして適応には、環境や状況に自己を適合させていく「受動的」な形と、環境に働きかけて変革するという「積極的」な適応の形がある。人が適応のための行動を起こす際には必ず「原因」が存在するが、そこにはさまざまな「原因」があり、それらに対する「動機付け」はさまざまである。また、めざす目標の位置や重要性と自分との関係によっては数種の「葛藤」が生じ、これら心的作用が人の行動に対して影響を与える。「欲求不満」も同様にいくつかのタイプがあり、適応、不適応にかかわる重要な心的作用として考えられる。
「葛藤」は人なら誰でも経験するであろう心の作用である。当然ながら「適応」行動の際にもそれは十分起こりうることである。「葛藤」とは個人の内部に相反する2つあるいはそれ以上の目標が同時に生じて、しかも、それらに同じくらいの程度の関わり合いを望んでいる自分を感じたとき、動きの取れない自己の状況を認知することで...