児童の健全育成について
健全育成とは、子どもを受動的な立場に置き、大人(親)やまわりの環境からの働きかけを意味している。つまり、子ども自身の行為、行動、態度によって達成される状態ではなく、育成される子どもに対して、大人や周囲の環境による働きかけへの援助サービスを意味しているといえる。
現在、子どもを取り巻く環境は大きく変化してきている。
第1に然環境の破壊が進んだことは子どもの遊び環境を著しく変えるきっかけとなった。また、交通量の増大によって、親たちは、安心して子どもを外へ遊びに出すことができなくなってしまった。
遊び仲間については、同性の異年齢集団ではなく、同学年の仲間と小人数で遊ぶ傾向が強まっている。たのである。
さらに、子どもの遊び文化が変化し、ゲーム機をはじめとする室内での遊びや与えられる遊びに慣れてしまって、自分の頭や手、体全体を使って、仲間同士で遊びを作り出していくおもしろさを知らずに過しがちである。
第2に、家庭と地域社会の関係の希薄化があげられる。核家族化が進行し、小人数世帯が増加したことで、社会性や個性を育むのに不可欠な集団や人間関係がなくなってしまうと、子どもの生活空間が狭まり、子どもの社会的自立・発達などの人格形成に影響を与えかねない。また、女性の就業率が増加し、共働き世帯の増加により、生活時間の余裕がなくなり、子育てとの両立が困難になる。子どもとの関係に歪みが生まれてしまうことで、親の情緒不安定、児童虐待が起きる可能性もある。子どもにおいても、いじめ・非行・犯罪などの逸脱行動が増えかねない状況である。
このような中では、子ども自身の育つ力が著しく阻害されており、子どもの健全育成が困難であるが、社会的養育援助として子どもの主体的な活動を保障していくことが必要である。
現在、健全育成にかかわる施策として、様々な施策が実施されている。
第1に、児童厚生施設の設置である。児童厚生施設とは、「児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする施設」と児童福祉法第40条に規定される。児童館と児童遊園の2種があり、児童厚生委員が置かれている。児童館には、小型児童館、児童センター等があり、個々に特色がある。実施主体は、各市町村で、事業内容は、児童の健全な遊び場の確保、健康の増進、情操の陶治であり、遊びを通しての集団的・個別的指導、母親クラブれる。
第2に、放課後児童育成事業の実施である。実施主体は市町村で、事業内容は、昼間保護者のいない家庭の小学校低学年児童(放課後児童)の育成・指導・遊びによる発達の助長を行うものである。活動内容は、児童の健康管理・安全確保・情緒の安定、遊びの活動への意欲と態度の形成、遊びを通しての自主性・社会性・創造性の向上、児童の遊びの活動状況の把握と家庭への連絡等である。
第3に、である。子ども会は、小地域すべての児童が健全に育成されることを目標とするもので、近隣に住む児童の遊びの集団として組織化したものである。母親クラブ等の地域組織は、地域における児童福祉の向上を図るための活動であり、親子および世代間の交流・文化活動、家庭における正しい児童養育に関する研修活動、児童の事故防止等地域の実情に応じた活動等を行っている。
第4児童劇に直接触れる機会をつくろうというもので、児童劇巡回事業・子ども映画祭等があげられる。ともに実施主体は、(社)全国児童連合会で、児童劇巡回事業の事業内容は、中央児童福祉審議会に推薦された児童参加型の児童劇を全国の児童厚生施設において実施し、
児童の健全育成について
健全育成とは、子どもを受動的な立場に置き、大人(親)やまわりの環境からの働きかけを意味している。つまり、子ども自身の行為、行動、態度によって達成される状態ではなく、育成される子どもに対して、大人や周囲の環境による働きかけへの援助サービスを意味しているといえる。
現在、子どもを取り巻く環境は大きく変化してきている。
第1に、子どもの遊びをめぐる環境の悪化である。遊びの三間(時間・空間・仲間)の喪失が言われているが、何よりも自然環境の破壊が進んだことは子どもの遊び環境を著しく変えるきっかけとなった。また、交通量の増大によって、親たちは、安心して子どもを外へ遊びに出すことができなくなってしまった。
遊び仲間については、同性の異年齢集団ではなく、同学年の仲間と小人数で遊ぶ傾向が強まっている。異年齢児との関係は、大人の干渉が入らない子どもの世界の中で、年長者が年少者をかばい、互いの能力を引き出し合う存在であった。子どもたちは仲間との衝突やけんかを通して、異質なものを受け入れたり、協調や妥協、思いやりなどを学んでいったのである。
さらに、子どもの遊び文化が変...