障害者福祉施策の概要について
わが国の障害者福祉の基本となる法律として「心身障害者対策基本法」が1970年に制定されたが、1993年にその後の社会経済助勢の変動に対応して「障害者基本法」に改められた。障害者福祉の施策は、この障害者基本法を頂点として、医療、教育、労働、所得、保証、社会福祉、在宅などそれぞれ関連する法律と制度によって実施されている。
障害者基本法の主な内容は、①法律の目的として障害者の自立と社会参加の促進を規定し、「完全参加と平等」をめざすことを明らかにしたこと、②法律の対象となる障害を身体障害、知的障害または精神障害のため継続的に日常生活に支障のある者としたこと、③基本理念として、すべての障害者は社会、経済、文化、その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えるとしたこと、④国民の間に広く障害者福祉についての関心と理解を深めるために12月3日~9日を「障害者週間」としたこと、⑤国は「障害者基本計画」を策定する義務があり、都道府県や市町村においても「障害者計画」を策定することが義務づけられたこと。
障害者福祉施策はこの障害者基本法に基づいて身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法及び、1995年に改正された精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の4つの法律を中心に行われている。さらに、社会福祉基礎構造改革の1つとして、身体障害者福祉法等の改正により、2003年4月から障害者福祉サービスについて利用者の立場に立った制度を構築するため、行政がサービスの受け手を特定し、サービス内容を決定する「措置制度」から新たな利用の仕組みである「支援費制度」に移行することになった。支援費制度は、障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービスの提供を基本として事業者等との対等な関係に基づき、障害者自らがサービスを利用する仕組みである。これにより、障害者個人としての尊厳を重視した福祉サービスの利用制度となることが望まれている。
1 身体障害者福祉施策の概要
身体障害者に対する福祉施策の基本である身体障害者福祉法は第1条で、「身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、必要に応じて保護し、もって身体障害者の福祉の増進を図ることを目的としている」と規定している。
また、第2条においては、「自立への努力及び機会の確保」として、「すべて身体障害者は、自ら進んでその障害を克服し、その有する能力を利用することにより、社会経済活動に参加することができるように努めなければならない」。ならびに本条第2項で「すべて身体障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機械を与えられるものとする」とされている。第3条においては、「国及び、地方公共団体は前条に規定する理念が具現されるように配慮して、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助と必要な保護を総合的実施するよう努めなければならない」また、同条第2項で「国民は、社会連帯の理念に基づき、身体障害者がその障害を克服し社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない」と地方公共団体と国民の責務を規定している。
① 身体障害者更生相談所は、専門的な相談指導、補装具・更生医療・施設入所にかかわる判定、福祉事務所に対する指導、重度障害者に対する巡回指導などを行っている。
② 補装具は、身体障害者の障害を補うものであり、補聴器・車椅子・盲人安全杖などである。
③ 更生医療は、障害の除去・軽減のための治療に要す