「20世紀後半におけるアメリカ社会の多様化・異質性の増加と、これまでたどってきたアメリカ社会の文脈を考え合わせ、アメリカ人はどんな社会を理想とすべきと考えていると思われるか。」
本設題を論ずるにあたり、まずは「アメリカ人とは誰を指しているのか?」について述べたいと思う。それはアメリカの基本的な特色が、なんといっても移民社会ということであり、移民社会であるため、様々な面で多様性を持った社会であるからである。
アメリカに移住してきた人々は、それぞれ異なった文化的背景、世界観、価値体系、宗教、生活様式などを世界中あちこちの国から持ってやってきた。そのため、アメリカは極めて複雑な要素、人種、民族、宗教、生活様式、言語などから成立する他民族・多人種・多文化社会となった。このため、「アメリカ人」というのは、多種多様であり、どのような肌の色、髪の色をしているのか、どのような物を食べているのか、どの宗教を信仰しているのか、あるいはどの言語が母国語なのか、まるでわからない人々である。
すなわり、アメリカとは、国籍を除く全ての要素が異なっている人々から成立している「移(異)民社会」なのである。
現代のアメ...