P6702 異文化理解(アメリカ)
1 ケネディとニクソンというふたりの大統領が、アメリカの政治と外交に果たした業績を、正と負の両面を含め、述べよ。5月午前
ケネディとニクソンは際立って対照的な人間に見え、また事実宿命的なライバルであった。
ケネディは政治的にも外交面にも在任期間が短かったこともあり、あまり多くの実績はあげていない。むしろ、キューバ進行、ベトナム介入など負の業績の方が目立つが、ケネディーは多くの演説を通し、アメリカ国民を啓蒙し外交への接近法の転換を説いてきた。
例えばケネディは死の二ヶ月前にソルトレイクシティーで行った「外交政策についての演説」ではアメリカ全能観の否定、イデオロギーより国益の尊重、道徳的黒白割切りの否定といったことが述べられている。そのこと自体はきわめて平凡な、常識的なことがら、常識的な指摘、ヨーロッパ外交史の中ではむしろ古典的な発想だ、新鮮さを持って響いてくる。
ニクソンは、ウォーターゲート事件で辞任に追い込まれたこともあり、業績は低く見られがちだが、在任中にはアメリカ軍50万のベトナムからの撤退を打ち出し、ソ連との緊張緩和を進め、中国との国交正常化の...