書誌学レポートテスト

閲覧数2,227
ダウンロード数6
履歴確認

    • ページ数 : 5ページ
    • 全体公開

    資料の原本内容

    Ⅰ、刊本出版の動機(趣味的出版)
      
     刊本出版の動機には4つあり、①滅罪功徳、②宗派のテキストの公布、③趣味的出版、④利潤の追求がある。今回は③趣味的出版について述べたいと思う。
     まず趣味的出版とはどういうものか。それはどこまでが道楽で、どこまでが商売かの区別が難しいものをいう。
     その具体例として饅頭屋本「節用集」がある。
     饅頭屋本「節用集」は、林宗二(まんじゅうや宗二、林逸)が刊行した辞書である。
     林宗二とは奈良と京都で饅頭の製造販売をしている人で、歌人・歌学者でもある。
     三条西実隆・清原宜賢・宗祇に和歌・連歌等を学び、牡丹花消柏より古今伝授を受けた。
     著書には源氏物語注釈書「林逸抄」があり、宗二の書き入れのある宋版「文選」等が伝存する。
     宗二の先祖である林浄因は、天龍禅師について来日し初めて饅頭の製造技術を伝えた人であり、奈良県の饅頭屋「塩瀬」家の祖。今は女性が当主である。
     「節用集」とは、15世紀中期に成立し、16世紀には刊行されたイロハ分類・意義分類併用の国語辞書である。日本には江戸時代を通じて刊行され、明治初期まで用いられた。
     
     話を本題に戻すとしよう。
     
     饅頭屋本「節用集」が趣味的出版だというのには以下の動機がある。
     
     お金と時間があり、先祖は中国人という誇りがあるため、宗二による道楽的刊行。
     文化的な事業をやってみたかったということでの刊行。
     「節用集」実際に売ったとみられるが、商売になったと思えず、かつ本業である饅頭屋があり、辞書とは無関係。
     
     以上の①から③の動機から考えると、趣味的出版であるということが理解できる。
    Ⅱ、①春日版にあまり読まれた形跡が
       ないのはなぜか。
     刊行すること自体に意義がある。
     読むことではなく、広く世に知らせるためである。
    Ⅲ、①書型
     大本、半紙本が書型の基本である。そこに大本を半分にした中本、半紙本を半分にした小本、大本よりも大きい特大本、小本よりも小さい特小本があり細かく分けられる。また上記には縦と横がある。その他に三つ切り本(大本と半紙本を3分の1にしたもの)、枡形本などがある。大きさと中身が合っているのも特徴の一つである。書型の大きさを測るものさしもあるが、記述する際にわかりにくい為、このような形で記述する。桝型本はほぼ正方形の形で、和歌や物語に多い。
      ②装訂
     装訂には、巻子本、折帖(折本)、旋風葉、粘葉装(別名:胡蝶装)があり、これらは中国伝来の装訂法である。この他にも綴葉装(列帖装)、袋綴(線装)、大和綴、大福帳装、紙訂装(仮綴)、唐本線装、康煕装などがある。
     以上が書型と装訂の説明である。

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。