「福祉専門職に必要な倫理と能力についてまとめ、自分なりの見解を述べよ。」
社会福祉援助活動は、組織を活動の拠点とする。ほとんどの福祉専門職は、社会福祉施設であれ、行政機関であれ、何らかの組織に属し、組織の一員として自らの実施活動を展開していく。したがって福祉専門職のことを「組織や機関を活動の拠点とする専門職」と表現することもできる。
福祉専門職の活動の拠点となる組織とは、一般的に「個人では達成できない仕事を複数の人々が協働すれば実現されうる場合」につくられる。しかし、組織を専門職との関係からとらえると、課題や問題点が見えてくる。
複数で大規模な組織の目標を能率的に達成するためには、合理的な管理、運営の体系が必要となってくる。例えば、規模を作り規則を守る、権限の支配、人間関係の非人格化、職務の専門化など。しかし、このような合理的な管理、運営を進めていくことで問題が起きてくる。それは、規則や権限の遵守こそが組織の目的となり、能率、倫理が最優先されて、人間関係に歪みが生じるのである。もちろん、規則や権限の遵守は組織を運営していくうえで非常に大切なことである。
ところが、いくら社会福祉専門職が組織や機関を活動の拠点としている専門職であったとしても、実際の福祉援助活動の場は、生活上の問題を抱える人達を対象として行われている。多くの場合そのような人達は、社会の関わりや日常生活の中でさまざまな問題や不安定な事情を抱えている。このような状況の中で過ごしている人達の生活全体に深く関わりながら福祉活動を実践する福祉専門職者には、これらの援助を必要とする人達(クライエント)の生存権を保障するとともに、その人の個性を尊重し、発達の可能性を最大限に保障するなどの高い倫理性が求められる。
この倫理性は、福祉専門職者が援助活動を行う際の活動や判断の指針として、専門職者達が自主的に策定した「倫理網領」の中に具体的に示されている。「日本ソーシャルワーカー協会倫理案網領」には、3つの原則が次のように書かれている。
人間としての平等と尊厳
人は、出自、人種、国籍、性別、年齢、宗教、文化的背景、社会経済的地位、あるいは社会に対する貢献度いかんにかかわらず、すべてかけがえのない存在として尊重されなければならない。
自己実現の権利と社会の責務
人は、他人の権利を侵害しない限度において自己実現の権利を有する。社会は、その形態のいかんにかかわらず、その構成員の最大限の幸福と便益を提供しなければならない。③ ワーカーの職責
ソーシャルワーカーは、日本国憲法の精神にのっとり、個人の自己実現、家族、集団、地域社会の発展をめざすものである。また、社会福祉を阻害する社会的条件や困難を解決するため、その技術や知識を駆使する責務がある。
さらに、福祉専門職者が実際の援助を実践していく時に、クライエントとの関係の中で留意すべきことに関しても、4項目が掲げられている。
クライエントの利益の優先
ソーシャルワーカーは、職務の遂行に際して、クライエントに対するサービスを最優先に考え、事故の私的な利益のために利用することがあってはならない。また、専門職業上の知識や技術が、非人間的な目的に利用されないように自戒する必要がある。
クライエントの個別性の尊重
ソーシャルワーカーは、個人、家族、集団、地域、社会の文化的差異や多様性を尊重するとともに、これら差異のあるクライエントに対しても、同等の熱意をもってサービスや援助を提供しなければならない。
クライエントの受容
ソーシャルワーカーは、クライエン
「福祉専門職に必要な倫理と能力についてまとめ、自分なりの見解を述べよ。」
社会福祉援助活動は、組織を活動の拠点とする。ほとんどの福祉専門職は、社会福祉施設であれ、行政機関であれ、何らかの組織に属し、組織の一員として自らの実施活動を展開していく。したがって福祉専門職のことを「組織や機関を活動の拠点とする専門職」と表現することもできる。
福祉専門職の活動の拠点となる組織とは、一般的に「個人では達成できない仕事を複数の人々が協働すれば実現されうる場合」につくられる。しかし、組織を専門職との関係からとらえると、課題や問題点が見えてくる。
複数で大規模な組織の目標を能率的に達成するためには、合理的な管理、運営の体系が必要となってくる。例えば、規模を作り規則を守る、権限の支配、人間関係の非人格化、職務の専門化など。しかし、このような合理的な管理、運営を進めていくことで問題が起きてくる。それは、規則や権限の遵守こそが組織の目的となり、能率、倫理が最優先されて、人間関係に歪みが生じるのである。もちろん、規則や権限の遵守は組織を運営していくうえで非常に大切なことである。
ところが、いくら社会福...