「生態系における有機物の合成と重要性について述べよ。」
生態系とは、生物群集と生態系をとりまく環境を総合的に捉えたものである。生物群集は、それぞれが、生産者(主に緑色植物)消費者(主に動物)主に分解者(細菌類)という役割をもっており、その中を物質やエネルギーが食物連鎖という形で(生産者から消費者へ、そして分解者へ)移動することによって平衝を保っているのである。平衝状態にある安定した生態系では、生産者の数量が最も多くなり、低次の消費者(草食動物)から、高次の消費者(肉食動物)になるほどなくなる。したがって、そのような生態系の物資収支を積み重ね、図で表現すると底辺部分は太陽の光エネルギー、その上が緑色植物の生産者、次が草食植物の一次消費者、肉食動物の二次消費者、そして最後に肉食動物の三次消費者という形の底辺の広いピラミッド型になる。緑色植物が生産者と呼ばれるのは、無機物から有機物を合成し他者に供給なるからである。生産者や消費者も有機物を合成する事が出来るが、その原料と出来るのは有機物だけである。そこで生産者が光エネルギーを利用して有機物を合成する過程である光合成について次に述べる。
光合成は、緑色植物の細胞の葉緑体でおこなわれる。葉緑体には、層状構造をしたチラコイドと、その基質になって酸素を含んでいるストロマとがある。自然界における光エネルギーの主な供給源は、太陽光である。植物は、光エネルギーを反応で直接使うことは出来ないため、クロロフィルがいったん光を吸収して活性クロロフィルという励起状態になる。そして、活性クロロフィルがもとの基底状態にもどるときエネルギーが放出され、光合成はまずチラコイドにおいて、光エネルギーが吸収される事によって開始される。水を分解して水素を取り出してNADPH2を合成する反応と、ADPとリン酸からATPを合成する反応に用いられる。このチラコイドにおける反応は光がないと進まないため明反応とも呼ばれる。
チラコイドでの反応でつくられたNADPH2とATPは、ストロマ内にある回路反応系に運ばれ、二酸化炭素を還元してブドウ糖を合成していく。なお、この回路反応は、発見者の名前をとって「カルビン回路」とも呼ばれ、この回路発見の功績でノーベル賞を受賞した。光合成でできたブドウ糖は、通常すぐにデンプンに合成される。被子植物の双子葉植物に属する植物では、葉緑体内ですでにデンプンにまで合成される事が知られており、これを「同化デンプン」という。このような植物の葉を「デンプン葉」という。同化デンプンは、夜になって光合成がストップしたあとに移動するが、そのままでは分子が大きいため、ブドウ糖やショ糖などの小さな分子の糖になり、師管を通って根や茎、種子などの貯蔵器官の細胞へ送られる。そして、そこでまたデンプンに再合成されて貯蔵され、これを「貯蔵デンプン」と言う。一方、単子葉類では、葉緑体内においてデンプンは合成されずブドウ糖のままか、ショ糖などの小さな分子の糖がつくられ、根や鱗茎、種子などに運ばれて貯蔵デンプンが出来る。
(このような植物の葉を「糖葉」という。) 光合成は光、温度、空気、水、土壌などの無機的環境によって大きく影響を受ける。まず光について詳しく述べてみる。光の強さが弱いと、明反応が少ししか起きないため、ATPとNADPH2が少量しか合成されず、その後の明反応も進まない。植物も自分の生命活動に必要なエネルギーをとりだすために、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す「呼吸」をしている。したがって、光の少ない夜間などは植物も二酸化炭素を排出しているの
「生態系における有機物の合成と重要性について述べよ。」
生態系とは、生物群集と生態系をとりまく環境を総合的に捉えたものである。生物群集は、それぞれが、生産者(主に緑色植物)消費者(主に動物)主に分解者(細菌類)という役割をもっており、その中を物質やエネルギーが食物連鎖という形で(生産者から消費者へ、そして分解者へ)移動することによって平衝を保っているのである。平衝状態にある安定した生態系では、生産者の数量が最も多くなり、低次の消費者(草食動物)から、高次の消費者(肉食動物)になるほどなくなる。したがって、そのような生態系の物資収支を積み重ね、図で表現すると底辺部分は太陽の光エネルギー、その上が緑色植物の生産者、次が草食植物の一次消費者、肉食動物の二次消費者、そして最後に肉食動物の三次消費者という形の底辺の広いピラミッド型になる。緑色植物が生産者と呼ばれるのは、無機物から有機物を合成し他者に供給なるからである。生産者や消費者も有機物を合成する事が出来るが、その原料と出来るのは有機物だけである。そこで生産者が光エネルギーを利用して有機物を合成する過程である光合成について次に述べる。
光合...