教師が生徒に様々な指導を行う上でその指導方法を充分に理解、分析しなければならないことは言うまでもない。生徒個々の学習状態は当然のこと家庭環境、友人関係などを把握することなどはそれらの基礎となるべき点である。しかしそれ以外にも指導をより有効、効率的に行うために備えておかなければならない教師の資質能力についていくつか考えるべき点があるため、これを論述する。
一つに「なぜ学習の必要性があるのか」を生徒に説明できる能力である。どれほど専門的な知識があり、授業展開が上手であろうとも、生徒が根幹に抱える「どうして勉強しなくちゃいけないの」という疑問に対して真摯にかつ適切に答えられる能力がなければ生徒の学習意欲は大幅にそがれてしまい、信頼も得られない。この質問をする生徒は大きく二つのタイプに分類されよう。一つは学習意欲の乏しい生徒が、学習を放棄するべく半ば投げやりに問い掛けるタイプである。もう一つは日常の社会生活に根ざしていない(と彼らが考える)教科に対し、根本的に学習の必要性を疑うタイプである。いずれの場合にせよ教師は通りいっぺんの答えではなく、生徒個々の現状やなぜそう考えるに到ったかを理解し...