ソーシャルアントレプレナーシップ(社会起業家行動)論
日本における社会起業家のルーツを探る。
社会起業家という後付
まず、社会起業家とは何か。そもそもこの言葉はいつできたのか。日本において社会起業家をメインテーマに据えて発行された中で最初のものとして、町田洋次の「社会起業家―「よい社会」をつくる人たち」があげられる。この本が発行されたのが2000年であり、「社会起業家」という言葉が一般に浸透し始めたのもこの時期以降であると考えられる。「social entrepreneur」の訳語として日本に輸入された社会起業家という概念であるが世界における社会起業家のルーツはイギリスで1990年代後半に提唱された「social entrepreneur」とそれに非常に近い概念であるアメリカの「grassroots leader」がある。この2つは完全に一致する概念ではなくそれぞれの発生における経緯も異にしている。このことからだけでも現在日本で使用されている社会起業家という言葉で世界の社会起業家"的"なものをすべて一括りにするのには無理が生じる。また、言葉自体は輸入されたものであっても日本における現代...