「文学とは何かについて、テキストに書かれていることをまとめ、さらに具体的な作品をとりあげて自分の考えを述べよ。」
文学とは常に人間の生き方にかかわるものであり、それも常にその生き方への積極的な取り組みの中に浮かび上がるべきものである。「文学とはなにか」を考えることは、人間の生き方を常に自分の念頭に引きすえて放さないという姿勢を自らに課すことに他ならないと言える。それはhow to liveを考えることではなく、むしろwhat is life?を問うことである。人間の生という根源的な認識を洗い直し、人間とはなにかという疑問符に答える用意を自分の中に準備することが、「文学とはなにか」を考えることである。
このことは単に現代的な要請であるばかりではなく、もともと文学の性質そのものにも内在していたといえなくはない。もちろん、文学が人間を対象とする唯一の学問ではなく、科学も、哲学も、歴史も、社会学も、経済学も、皆つまるところ人間を探求するものであり、宗教においては人生の問題がそのすべてだとすらいうことができる。しかしながら、それらあらゆる部門と比較して、文学がなおもっとも人間的であるといえる...