「障害者福祉において当事者活動が果たしてきた意義と役割について論述せよ。」
現在の障害者福祉の発展は、医療関係者や行政の活動だけによるものではなく、障害のある人々や家族が築きあげてきたことが大きい。障害者自身やその家族、ボランティア、市民が活動を通して、障害に関する問題を解決するために社会や行政に働きかけ、その結果、制度がつくられ充実した障害者福祉を目指した発展に影響を与えている。障害者福祉においては、当事者を交えて社会に働きかけた運動なしには、問題の所在と深刻さが認識され、解決への行動がとられることはありえなかったと言える。
戦後、不況下で社会は不安定な状態であり、国民生活は大変苦しい時代であったが、民主国家としての再スタートしたなかで各種の社会運動が活発に行なわれ始めた。障害や疾病のなかでも比較的数の多い障害者や患者団体と各福祉法による福祉施設などの専門団体が設立された。
昭和30年代、脊髄性小児麻痺が大流行し、肢体不自由児が増大した。また、薬害であるサリドマイド児の誕生が社会問題化した。昭和33年には、日本身体障害者団体連合会は、都道府県に支部をもつ初めての全国組織とな...