今日、企業を取り巻く環境の変化は著しい。新しくおこる出来事に翻弄され1年後、2年後さえ予測しにくい時代である。その結果、企業は従来のマネジメントが成り立たなくなってきているのが実情である。この環境の変化は過去との関連性はない不連続なものであるため、企業組織を常に環境に適応するよう変革する必要に迫られている。
変革を成功させるには、トップマネジメントがどのようにリーダーシップを発揮するのか、それを受けてミドルマネジメントが現場でどのような役割を担うのか、にかかっている。企業の組織としてのあり方があらためて問われているといえよう。
今回、経営管理論の変遷をたどりながら様々な理論の必要性、他の理論との関係性を確認していく。それを踏まえた上で、組織として環境の変化に対応しつづけるための能力をどのように構築すればよいか、そのための戦略経営に関して組織能力を考慮しながら見ていくことにする。
Ⅰ.1900年代~1950年代
(1)経営学の誕生と伝統的管理論
近代経営学の基礎を築いたのはテイラーである。テイラーは自らの機械技師としての実務経験をもとに、科学的管理法を確立し、1911年に「科学的管理法の...