系間交差
1.
電子遷移
一般に異なる電子状態間の遷移を電子遷移という。電子遷移が起きるためには次の二つの
条件を満たしていなければならない。
1
つ目は
2
つの
電子状態間のエネルギー差に対応する
電磁波を吸収しなければならないというエネルギー条件
であり、
2
つ目は
2
つの状態間の遷
移確率が
0
であってはならないという軌道の対称性に関する条件である。
状態
m
,
n
間の遷移確率
P
n
←
m
はこの状態間の遷移モーメント
µ
n
←
m
の
2
乗に比例する。状態
m
,
n
の波動関数をそれぞれ
ψ
m
,
ψ
n
とすると
状態
m
,
n
間の
遷移モーメント
µ
n
←
m
は
式
(1.1)
で表さ
れる。
(1.1)
ここで、
e
r
は双極子モーメント、
d
τ
は体積要素である。
2.
スピン禁制
電子状態の波動関数は、軌道の波動関数
ψ
とスピン波動関数
σ
の積で表される。
このとき、
状態
m
,
n
間の
遷移モーメント
µ
n
←
m
は式
(2.1
)
で表される。
(2.1
)
スピン波動関数は双極子モーメントとは関係ない
系間交差
1. 電子遷移
一般に異なる電子状態間の遷移を電子遷移という。電子遷移が起きるためには次の二つの
条件を満たしていなければならない。1 つ目は 2 つの電子状態間のエネルギー差に対応する
電磁波を吸収しなければならないというエネルギー条件であり、2 つ目は 2 つの状態間の遷
移確率が 0 であってはならないという軌道の対称性に関する条件である。
状態 m, n 間の遷移確率 Pn←m はこの状態間の遷移モーメントµn←m の 2 乗に比例する。状態
m, n の波動関数をそれぞれψm, ψn とすると状態 m, n 間の遷移モーメントµn←m は式(1.1)で表さ
れる。
(1.1)
ここで、er は双極子モーメント、dτは体積要素である。
2. スピン禁制
電子状態の波動関数は、軌道の波動関数ψとスピン波動関数σの積で表される。このとき、
状態 m, n 間の遷移モーメントµn←m は式(2.1)で表される。
(2.1)
スピン波動関数は双極子モーメントとは関係ないので、この積分は式(2.2)のように分離する
ことができる。
(2.2)
ここで、積分
は異なるスピン...