台湾はもっとも長い期間日本語教育が行われた国である。台湾での日本語教育が始まったきっかけは、日清戦争(1894~1895)で日本に敗北し、下関条約を締結したことが端緒である。その後、日本の植民地となった台湾では、第二次世界大戦が終わるまでの50年間に渡り「日本語」を「国語」とした教育が行われてきた。当時日本にとって日本語を「第二言語」とした教育法が本格的に研究されていなかった。その為、手探り同然の、不明瞭な形で開始された。その先駆人となったのが伊沢修二であった。伊沢は国家教育主義に立ち「日本語を持って言語の通ずることに尽くし、然るのちに彼ら(台湾の人々)の脳裡の開拓に取り掛かるべきである」と...