「文字のジェンダー」
日本は諸外国に比べて識字率の高い国である。日本の識字率は99.8%(男性99.9%、女性99.7%)であり(2002.UNESCO)、これは諸外国に比べてかなり高い数字である。この識字率の高さは今に始まったことではなく、昔からであることがいくつかの史料からうかがえる。特に女性にも文字の教育が行われていたというのは大変すばらしいことである。例えばルイス・フロイスの外国史料には
われらにおいては、女性が文字を書く風習はあまり普及していない。日本の貴婦人においてはもしその心得がなければ、格が下がるとされる
との記述がある。また、中世の一農村の「たまがき」という女性が書いた手紙も現存している。中世の一農村の女性が手紙を書けるほどに文字を書くことができたというのは非常に驚くべきことである。さらに江戸末期には
女ならひ教訓の書
上れきくより軽き下々までまず手ならふ事
女子は年もつもれば物縫わざを学ぶものなれば、
いとけなきより外のわざを置てまず習ふべし
(略)習い給てや習ふべし
めでたくかしこ
という書も書かれている。現在でも世界の非識字人口の64%は女性である(2004....