代理行為の瑕疵とは、代理行為に関して意思の欠缺、瑕疵ある意思表示などの欠陥が存在することをいう。瑕疵とは「きず」という意味である。
例えば、代理人が冗談で取引をすると意思表示をした場合には、この代理人の意思表示には、意思の欠缺(この場合には心裡留保)という欠陥が存在することとなり、代理行為に瑕疵があるということができる。
民法では、このような代理行為の瑕疵は、「代理人について判断する」と規定している(民法第101条第1項)。判例・通説では「代理における行為の主体は、代理人である」と考えられている(これを代理人行為説という)。この代理人行為説の立場からすれば、この民法第101条第1項は当然の規定であるということができる。
例えば、問題となるのは代理人が相手方と通謀の上で虚偽表示をした場合である。通常の場合には本人の善意・悪意を問うことなく行為は本人との関係においては常に無効となるのであり、本人が善意の第三者として保護を受けるということはない(大判大正3年3月16日民録210頁、大判昭和16年8月30日新聞4747号15頁)。しかし、代理人が本人を騙す意思で相手方と通じたうえで行動...