近代私法の原則とその変容について、法の機能と関連させながら論じなさい。 参考文献有り
近代私法の原則は、近代市民社会に伴って形成され発展してきた法で、私的生活の自由(私的自治の原則)を基礎として成り立っており、これを支配する理念を一般に市民法原理という。近代市民社会は資本主義社会であり、近代法は、資本主義社会の法でもある。
資本主義社会は商品交換を基礎とする社会であって、商品交換は生産された商品の流通過程においてだけでなく、その生産過程においても労働力という商品の流通の売買の形で行われる。商品交換というのは、商品ないし財の所有者が互いに相手方の所有を承認したうえで、これを交換することにほかならないから、近代法においては、原則としてすべての個人に独立自由な法的主体性(法人格)が認められ(人格の自由・平等)、すべての財貨について独占排他的な支配権が認められ(私的所有権の保障)、平等な個人の自由な意志の合致、すなわち契約による財貨の交換が認められなければならない(契約の自由)。そして、近代市民社会にあっては、人格の自由・平等、私的所有権の保障、契約自由の原則のほかに、個人の活動の自由の保障という観点から、自由...