夕刊和歌山時事事件の最高裁判決の妥当性について

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    夕刊和歌山時事事件における最高裁判決の適当性について

     ◎事実概要

    この事件の被告人は、「夕刊和歌山時事」上において、「和歌山特だね新聞」の記者Aやその指示を受けた記者が和歌山市役所某課長や上層の主幹に対して暴言を吐いた、と掲載したため、このことがAの名誉を毀損したとして刑事起訴された。争点となったのは、表現の自由と名誉権とのジレンマである。

    第1審では、刑法230条の2の規定のうち、(1)公共の利害に関する事実に係わること、(2)目的が専ら公益を図ることにあること、の2つについては認めたが、(3)事実の真否の判断と真実であることの証明が認められず、名誉毀損罪の成立を認めた。これに対して被告人は、たとえ(3)事実の証明が不十分でも、証明可能な資料、根拠をもって事実を真実と確信したため名誉毀損の故意が成立しないとして控訴した。第2審では、真実の証明がない以上、被告人が真実だと誤信していたとしても、故意を阻却せず、名誉毀損罪は免れられない、と最高裁の判例(昭和34年5月7日第一小法廷判決、刑集13巻5号641頁)を持ち出して控訴を棄却した。これに対し被告人は憲法21条(表現の自由)...

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