日本では長い間、精神障害者は医療の対象とされ、入院中心の隔離政策がとられてきたため、精神障害者の福祉についての施策がなかった。「精神保健法」(精神衛生法改正)が成立し「入院中心の医療」から「地域生活への援助」へと制度、政策面からも整えられた。しかし医療の対象であった歴史が長く、精神障害者が利用できる社会資源は医療施設に偏っていたため、在院期間は長期化してしまった。また、病状的には入院する必要がないのにもかかわらず社会に受け皿がないために入院せざるを得ない社会的入院者が多数存在することも課題となっている。精神保健福祉援助活動とは、このような福祉・保健・精神医療の現状を精神障害者にとってより良いものにすることを目的としている。
精神障害者の社会復帰および自立と社会経済活動参加への促進を図る専門職を育成するため「精神保健福祉士法」が成立した。保健と福祉の双方にまたがる職種である。知識や技術は社会の変化とともに変わっており、常に新しい考え方や技術を取り入れることは重要である。しかし具体的な知識や技術だけを習得すればいいのではなく、知識や技術が導き出される元にある専門職としての共通の視点・理念が...