1.はじめに
図書館では今日も蔵書資料の貸出が当然のように行なわれている。しかしながら、この貸出業務を行なうには、図書館の蔵書資料すべてを網羅した「目録」の作成が必要不可欠である。目録とは「図書や雑誌など資料の情報を記録し(この限りでは「書誌」に同じ)、その所蔵や所在を記載したもの」のことをいう(註.1)のだが、現在日本の図書館界には2種類の目録作成作業が混在している。「集中目録作業」と「共同目録作業」である。これらの目録作業が一本化されずに、差別化が図られているのは何故なのだろうか。そこで、本課題ではこれらの目録作業の差異を明らかにし、それぞれが持つ意義を考えていきたい。
1.はじめに
図書館では今日も蔵書資料の貸出が当然のように行なわれている。しかしながら、この貸出業務を行なうには、図書館の蔵書資料すべてを網羅した「目録」の作成が必要不可欠である。目録とは「図書や雑誌など資料の情報を記録し(この限りでは「書誌」に同じ)、その所蔵や所在を記載したもの」のことをいう(註.1)のだが、現在日本の図書館界には2種類の目録作成作業が混在している。「集中目録作業」と「共同目録作業」である。これらの目録作業が一本化されずに、差別化が図られているのは何故なのだろうか。そこで、本課題ではこれらの目録作業の差異を明らかにし、それぞれが持つ意義を考えていきたい。
2.集中目録作業とはなにか
例えば、すべての図書館がその所蔵する資料の目録を単独で作成するとしよう。その行為には人的・時間的に無駄が多く、非効率的であることが容易に想像できるであろう。何故ならば、同じ資料を持つ図書館の間に際限なく同じ資料の書誌記録が作成されてしまうからである。そこで、我が国における中央図書館であり、熟練の図書館員と納本制度によって国内出版されたほとんどすべての図書を有する国立国会図書館が書誌記...