1.はじめに
社会福祉と聞いて私の中に浮かぶのは、高齢者や障害者に対する介護などといったケア労働のイメージである。多くの人がケア労働に対して抱いているイメージは、利用者と日常的に接する仕事であるためやりがいのある仕事ではあるが、同時に負担などが大きく労働面での条件はキツイ仕事である、というものではないだろうか。
確かに社会福祉関係の仕事は、本来利己主義的要素より利他的要素を多分に含む性質のものである。そのため、ケア労働などは高い情緒的価値を見出すことのできる活動だと言える。しかし、近年老人介護の市場化などが進んでいるのを見ると、その情緒関係に変化が起きているように思われる。高齢者・障害者などを介護する家族のことを考えれば、それらのケアの外部化、つまり公的セクターや、市民互助的なもの(NPOやコミュニティワークなど)を充実させる必要性は確かにある。しかし、ケアの市場化によってケア労働が本来持っている情緒的価値が揺らいでいるような気がする。このレポートでは、社会福祉とは何かということについて、ケア労働、社会福祉政策という点から検討していきたい。
2.社会福祉のイメージ――揺らぐ情緒的価値
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