産業革命以後の社会改良運動が、社会に与えた影響について述べなさい。
19世紀末の産業革命後の社会では、貧富の差の増大、人口の都市への流入、厳しい労働条件のもとでの病気と貧困、都市における貧困地区の発生、犯罪や非行の増加などが悪循環し、資本主義体制の矛盾として大量の社会問題が生じていた。
イギリスでは、エリザベス救貧法を社会秩序の維持を目的として1834年に改正したが、貧困問題は公的な救貧事業のみでは対応できないほど深刻化していた。このような時代背景があり、慈善・博愛も慈善事業・博愛事業となり、人道主義的な社会改良思想と結びついて民間社会福祉が発達することとなる。
1869年に慈善組織協会がロンドンで設立された。その主な機能は、救済申請者の綿密な調査、救済の重複を避けるための登録制度の実施、さまざまな救済機関の連絡調整、友愛訪問員の活用であった。初期の友愛訪問の目的は救済に値する貧民の道徳的改良にあったという問題を残したが、友愛訪問から発達した個別援助活動、社会福祉調査、地域援助活動及びソーシャルワーカーの訓練等、慈善組織協会がその後の社会福祉援助技術の形成に及ぼした影響は極めて大きかっ...