『戦争の悲しみ』を読んで

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    『戦争の悲しみ』を読んで
    徐々に貧富の差が開き始めたと指摘こそされるが、世界第二位の経済力を持つ現在の日本社会において、衣・食・住に苦労する人々は世界各国の中でも圧倒的に少ない。しかしその反面、フリーターやニートの増加、中高年の自殺者数の増加などに代表されるように、「夢がない」、「やりたいことが見つからない」など、物質面ではなく、衣より心理的な意味で「幸せ」を感じにくい世の中といわれている。それを自分自身に当てはめてみてもまさしく同様のことが言える。周囲の環境を見渡してみても、客観的に考えれば圧倒的に幸福な環境にいるとわかっているのに、向上心のなさや慣れ、甘えにより、実践に移すことを怠けてしまったり、現状に不満を感じてしまうことが多々ある。目標を持ち、強い意志を持とうと決断するのに、周囲の環境に大きく作用されてしまうのである。
    今回読んだ『戦争の悲しみ』は、世界中に数ある出来事の中でも、恐らく最も人を狂わすであろう「戦争」という出来事により運命を捻じ曲げられてしまった人々について書かれている。それも、ただ「戦争」=「悪」という視点ではなく、多分に運芽に翻弄されてきた主人公が書き手という...

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