王維の作品を読んで疑問点を一つ取り上げ、それに対する自分の考えを述べよ。
序論
王維の詩に『田園楽七首』という、田園の楽しみを七首にして詠んだ作品がある。紙面上、うち三首を以下に引用する。「其二 再見封侯万戸 立談賜璧一双 詎勝耦耕南畝 如何高臥東窓」「其六 桃紅復含宿雨 柳緑更帯春煙 花落家僮未 鶯啼山客猶眠」「其七 酌酒会臨泉水 抱琴好倚長松 南園露葵朝折 東舎黄梁夜舂」どれも田園での楽しみをとても嬉しそうに、楽しんでうたっていることがわかる。
しかし、王維は元々、上流階級の中心で活躍する宮廷詩人だったはずである。若き頃から博学で絵画や音楽といった様々な能力にも長け、神童ともてはやされた王維と、田園で過ごす王維とは余りにかけ離れたイメージである。そんな王維が、なぜ田園の楽しみをこうもいきいきと詩に詠むことができたのだろうか。いくつかの作品を挙げながら論じていく。
本論
王維の一家は中小士族である。当時は貴族階級が政権を握り、中小士族は貴族階級の下で過ごすことを強いられた。そのため、王維は幼い頃から一家の期待を一身に背負い、その才能を生かし見事に中央政界への仲間入りを果たした。しか...