R0115漢文学① 史記 再提出バージョン

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    資料紹介

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    史記の項羽と劉邦の人間像について
    はじめに
     史記は司馬遷が生み出した私纂の歴史書である。私纂であるゆえ、史記においてはしばしば司馬遷の独特の史観によって書かれた部分がある。なかでも「項羽本紀」と「高祖本紀」においては、二人の豪傑を中心として、まるで小説の如く盛り上げ、読者をひきつける描き方をしている。このように、いわば小説の主人公となりうる二人がどのような人間像で描かれているのか、また、しばしば項羽と劉邦は並列して述べられるが、共通点や相違点はあるのか、幾つかの文献と『史記』の記述を通して述べたい。
    項羽の人間像
     項羽の血筋は楚の将軍の家柄につながるが、それほどれっきとした名家というわけではなく、農民の地主階層であったとされ、今日の江蘇省で生まれた。若いころは、書物も剣術も嫌いだったようだ。しかし、項羽の人間像、即ちその性格や風貌については「項羽本紀」のはじめに以下のような記述がある。「項羽は身の丈八尺あまり、力は鼎を差し上げるほど強く、才気は人に抜きん出ている。」(『史記4-逆転の力学-』27頁)この記述からは彼が類稀な体力と才気にあふれた人間であることが分かる。また、「高祖本紀...

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