「児童の権利に関する条約」制定の背景とその意義について
人間が人間として生まれながらに当然に持っている基本的権利である人権において、全ての人は法の下に平等であり、かつ自由であると定めている。したがって、人権は大人であっても子どもであっても区別されることなく、生まれながらにして等しく持っている権利であるといえるだろう。しかしながら、自ら人権を上手に行使する術を持たない、乳幼児や成人前の成長期にある幼い児童(子ども)には、両親や周りの大人たちをはじめ、社会全体でサポートしていく必要がある。
しかし、このような子どもの人権について考えられるようになったのは最近のことである。過去、子どもは親の所有物であり、従属者であった。そして、家族のために労働力ばかりではなく、生活のために売り買いされる対象として扱われてきた。また、度重なる戦争によって多くの幼い子どもたちが犠牲となったり、内乱や飢饉によって多くの子どもたちが生存の危機にさらされている。1989年11月20、国際連合総会において満場一致で採択された「児童の権利に関する条約」は、こうした背景のもと、このような状況を打開し、自らの権利を守...