現在の日本の年金制度は、国民の相互扶助と社会連帯の思想を基本に、「世代間の助け合いの理論」によって運営されてきた。しかし…
「100年安心」が実現可能な社会保障(年金、医療、介護)制度改革
1.現状把握・現状評価
(1)年金
現在の日本の年金制度は、国民の相互扶助と社会連帯の思想を基本に、「世代間の助け合いの理論」によって運営されてきた。しかし、平成19年度段階で63.9%、特に20歳~24歳で53.2%、25歳~29歳で51.5%にとどまっている納付率(*1)からもわかるように、相互扶助の精神が国民レベルまで浸透しているとは言い難い。これは、2004年に相次いで発覚した、国会議員による年金未納問題に端を発する、ということもあるが、国民に現行の年金制度が将来的に維持できるのか、懐疑的な意見が多いことも、その原因の一つといえるだろう。高齢者人口に対する生産年齢人口(15歳~64歳)が、現在の3人に1人から、2030年には2人に1人に減少するといわれるなか、国民の年金に対する不信感は根強い。また、2006年の社会保険庁による年金記録改ざんを端にした問題は、国民の不信感をさらに増大させた。現在、社会保険庁は廃止され、非公務員型の日本年金機構と、全国健康保険協会が代わって年金を運営している。また悪質な滞納者への強...